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日本一周?すまんオカンちょっと行ってくる

日本一周後 縁?訳?あって現在西表島住まい

シーカヤックの小さな旅行

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急な出発であった。昼に仕事が終わり明日の予定も抜けてしまった。カヤックにキャンプ道具を積み、16時出発でもあった為、最短の距離で行ける所へ島渡りをしていった。隣同士にある島は2箇所とも新城島。北側は上地島、南側は下地島と呼ばれる。上地島に島民は住んでいるが、閉鎖的であり上陸はいいように思われない。下地島に在住の島民はおらず、私有地だそうだがキャンプするには下地島の海岸だけだと聞いていた。

 

19時過ぎには日没だ。10キロ程、2時間の漕行時間で渡り、西表島を見渡せる場所の海岸を選んだ。さっさとテントやら、慣れた準備を終わらし、沈む太陽は俺を炙るように照らす。ビールをグビっと喉をグビグビ鳴らし飲み込んだ。

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その日の夕焼け空と夕日は雲の少ない空を染めていた。海と夕日が溶け合うさまを眺めていた。

 

夜メシの準備を進めていたけど、急いで準備したのが仇となり忘れ物だらけで笑ってしまった。

無くてもどーにかなるものばかりだが、箸もなけりゃまな板もない。クッカーに使うバーナーすら忘れていた。ガス缶は持ってきたくせに。

結局焚き火で済まし、箸は落ちていた竹をナイフで切ってそれらしく。白飯を1合炊き、キューブタイプの鍋の素を切った野菜とウインナーで煮込んで食べていた。腹は満たされず、スパゲティを茹で、タマネギをスライスしてツナ缶と和えスパスパ食べていた。

 

腹も満たされ動作はのろのろ、焚き火に流木を投げ込む。グダグダと過ごし西表島内の灯りを見渡し、島で付き合いのある人達の事や、今までの事これから先の事などを考える。凝り固まった頭をほぐすと言うのか、家に居るよりかマシな気がした。仕事の数も減り無駄な時間が増え過ごす毎日がバカらしい思える。

なるべく出かけるようにしているが、家では勉強したり読書や映画など時間を過ごしている。どちらにせよ静かな時間が増えて、ここのところ、感情の起伏がなくなっていた。色々と透明になる。こっちでよくある事なんだけど人付き合いも浅く広いだけ。家に籠った日は酷い自己嫌悪に苦しめられる時がある。自身の卑小さ、成長のなさ。仕事に打ち込むようにして蓋をする。見て見ぬふりを続けた挙句だ。以前までは、そこから目を逸らせる程度に忙しい。まぁまぁでやり過ごした。これが大人の処世術とやらみたいに。

 

西表の上手く友好関係を保てなかった以前仲も良く好きであった人もいる。原因は俺にある。11月終わりに本州の大切な友人が亡くなり、12月実家の家族、親戚の病。病院費。帰りたくても帰れない。気持ちが顔や態度を表していた。落ち着いたもの月日も経ち、味の無くなったガムみたいな会話はたまにある程度で、愛想も無くなってしまった。上手く話せない上、背を向け更に考え過ぎで言葉に詰まる。自分の不器用さが嫌いだ。そのクセに時折器用に立ち振る舞おうして、思ってない言葉を言う自分はもっと嫌いであったりする。

 

これから先の未来、いつかやりたい事だってある。むざむざと歳を重ね始め焦りがある。俺にとっては夢物語であり、本州でしたいことがあって実現できたら。

その為の中にカヤックがあって、その為の西表の生活を続けているが、もう離れてもいいかもしれない。

 

いてもたってもおられずこうしてひとり、小さな旅に出る。単調にパドリングを繰り返し落ちつかしてくれない海に向かい外で過ごした日は素の自分になる。感情が豊かになり視界と思考は鮮明であり、バイクに乗っている時もそう、目まぐるしく五感は鮮やかになる。

 

旅をすると旅は答えをもたらすのか、いずれ自分の暗闇がまた更に襲い、嫌いな自分とは向き合わなきゃいけないだろう。

黙々と焚き火に木をくべていると、月明かりに照らされている事に気づいた。

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全てが明るく、ランタンの灯りも不要な程周りがよく見える。

写真を撮って

俺自身の暗闇は、明るくなるだろうか。明るくはならずとも、暗闇は少し薄くなり自分の奥底でそっとしてくれたらいい。幾ら旅をしたところで何年も生きた自分は簡単にころっと変わらない。何となく、付き合い方が分かってきている。小出しに付き合っては、飼い慣らすように、いつか馴染むことができるかもしれない。

答えは無いけど…。素直に向き合えたらいい。

月に照らされできた影の半身にそっと思いを込めた。

 

ラジオをつけたけど、まともに日本語は拾えず持ってきた小型スピーカーで音楽を流した。

ずっと音楽を流し月灯りの明るい海岸を散策し、焚き火に木を沢山くべてゴーゴーと燃やし狼煙を上げた。

長々と考えを巡らし時間は経ち

ぐるっと月は空をまわり海を照らした。

f:id:okantooton:20210429215656j:imageカヤックに乗り込み、月灯りの道を少し漕ぎ進んだ。濡れると寒かったが気にならなかった。

濡れた身体を拭い、テントに戻り気持ちは穏やかになって暖かい寝袋に包まって眠った。

 

数時間の睡眠から日の出と共に目が覚め、朝が眩しかった。夜に食べた鍋と同じ物を作り、更にそうめんを入れ、にゅうめん野菜鍋朝メシの出来上がり。カンカンと鍋を箸で音を鳴らし腹にかきこんだ。

コーヒーを淹れたヒビだらけのステンカップを片手に海岸の漂流物を蹴散らしながら散歩。

f:id:okantooton:20210429120924j:image珍しい物らしく、透き通ったガラス玉を見つける。首から下げてるコンパスと大きさを比べた写真。

ガラス玉越しに見える海と空はより一層と青かった。

テントに戻って拾ったガラス玉を転がし、少しの読書から寝袋に潜り惰眠をとる。

 

太陽も少し上がり暑さに目が覚め、海で顔を洗い、汗流しに泳いで涼を感じる。

こっそりと夏が刻一刻と近づいて潮の満ち引きが季節の変化を分からせる。

 

タラタラとテント類を片付けカヤックに積み込み下地島南東辺りまで漕ぎ進んだが、潮が引いて途中から陸地に阻まれ進めなくなった。

アンカーを落としカヤックから海に飛び込む。下地島リーフ内は水深があって、魚達がのびのび泳ぎ溢れている。モリで突けるか試行錯誤するが、まだまだ未熟で下手くそ。待ち構えても目の前をウヨウヨするのは熱帯魚だけだった。

 

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悩みすぎ考えすぎもあるだろう。めんどくさい奴だと思う。自身と向き合う歳になってきたのだろうか。漫然とただ楽しく人と遊んでスマホでゲームして過ごす時間よりいいかもしれない。

 

新しい変化や場所が変わればそんな事考える暇もないだろうが…

時折、溜まったガスは抜いて生きて、自然体でこれからも優しくありたいね。