日帰り鹿川湾
何度も足を運んだ鹿川湾へ
空は晴れていた。ジトジトした雨ばかりの毎日にカビが生えそうでうんざりしていた。
何日振りだろうかと思う程の好天気に恵まれ8時出港で漕いで行った。本当は7時出発でありたかったけど、前日に人と飲み過ごして日付を跨いだ訳で…。寝坊してしまった。
往復8時間近くのカヤックになるけど、気楽に海を進んで行った。
真っ青な空。仕事続きの毎日を過ごした後の、海から感じる空からの眩い太陽は暑く思った。
モンベルのウインドブレーカーを羽織っていたけれど、乗り始めて30分しないで脱いでしまいすっかり夏の格好になった。
傍らで鳥さん達も日向ぼっこ
冬の海は透き通り魚達が泳ぐ姿が見える。
海亀が呼吸に顔を出しまた海底に深く沈んでゆく。
マンタが潮の流れにひらひら舞う泳ぐ姿が見えた時は嬉しかった。
遠く先に見える鹿川湾に船首を向け、無風の凪の海を人知れず、パシャンパシャンとパドルで海を鳴らし進んだ
海岸線にぽつんと転がった岩、豆腐岩を過ぎる。日帰り波照間の戻り、西表の輪郭がはっきり見えた時に現在地の把握に目印となった記憶が新しい。
豆腐岩やゴジラ岩とかはどこの地域にもあるもんだが…
鹿川湾に入った。いつもなら、このまま湾の奥の海岸に着岸するが、湾の南にある滝へ向かう
海を前に落ちる落水の滝
こんなに近くまで接近した事がなかった。いつもだと軒並み横一列に白波が崩れ、流れも早く海岸に近付こうものなら波に押され岩に激突しカヤックがブッ壊れる。
以前の写真。
数日前の雨の影響で滝が3段になっている。浅いリーフも短くて小さなうねりも入っている。
この日は本当に穏やかだった。
カヤックは海に浮かべたまま、滝を前に上陸して喜んだ。
更に茂み奥まで入り、つるつる滑る岩上を滝前まで進み、午前の太陽が滝を照らし綺麗に輝く虹に見惚れていた。気を抜いた瞬間に、足を滑らし思いっきり後ろの茂みに背中からダイブしてしまったのは笑い話…。笑
薙ぎ倒した茂みから撮影
落ちる滝で潮を洗い流し、滝を後ろに漕ぎ渡った海と空を見渡し太陽の光を感じる。格別に感じる爽快感と太陽の日差しの温もりが心地よかった。
時計とリズムを合わせて早々にカヤックに乗り込み、よくキャンプをする湾の奥まで、いつもの場所へ。
いつ来ても、ここは居心地いい、ような気がする。
昼食にパスタを作り、時間を見て漕ぎ帰る時間、距離を考え戻る方向にまた漕ぎ戻る。
午後から風も少し上がり、空模様もうろこ雲が伸び広がり曇り空に変わってしまった。
暫く、漕ぎながら頭の中で物事をずっと考えていた。
この次の日は阪神淡路大震災があった日だった。
震災があってから27年も経つと記憶も風化して、当時の家や長田の母親の実家(火災もあり被害が酷かった場所)幼かった7歳の自身にも分かる程、悲しい声が沢山聞こえ、誰もが前を見て歩く事ができなかった事を思い出した。
ただひたすら、みな、生きていく事に必死だったのだろう。
歳月も経ち今の自分は海の生活が中心で、時期に迎えよう挑もうとするカヤック旅がある。
海に出れば誰も助けてはくれない。
決して命を粗末に、捨てようとしてるわけじゃないけど、ただ強く生きなきゃと思うことをあの日振り返った27年経った今、より強く思う。
夢と現実とのギャップの枝葉をいつも見つけようとしているような気がする。
そんな事を頭の中ぐるぐる考えを巡らせて
帰りの4時間、黙々と漕ぎ帰った。
さぁ次は日帰り漕行はどこに行こうか?